KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年6月号
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I頭も殺すことがあるという。もちろん、そんなに食糧を必要とするわけではない。獲物を承ると衝動的に殺してしまわずにはいられないらしいのだ。タイガーに「残忍な男」という意味が生れるのも、ゆえなしとしない。また、見さかいなしに暴れ回る酔っぱらいを「トラ」と名づけるのも当然である。そういえばヒトラーもトラの一種だったといえば駄酒落すぎるだろうか、(毎日新聞神戸支局次長)小山蛙糸釦小叩咽私は、神戸の長田で生まれ、以来ずっと神戸に住んでいます。神戸を離れたのは、戦時中に田舎に疎開した時と、地方公演の時だけ…。だから本誌の題名「神戸っ子」と同じように、いわば私も生粋の「神戸っ子」です。山紫水明の神戸の街は、ほんとうに美しい街l美しい環境に包ま富生売エハ〕邦〃ヲ。れていると諺その美しさを余り意識しないけれども、それでも折りにふれて電車の窓から眺めた海の美しさや、山々の樹々の色の変化に、季節の移り変わりを知らされて、〃我が故郷は佳きかな/〃と思うことがしばしばあります。四、五年前にハワイへ行った時その美しさに「同じ住むなら、‐こんな所で…」とチョッピリ思ったりもしましたが、それでも神戸に帰ってくると、やはり私には神戸が一番いいとつくづく思いましたただ、いつも残念に思うのは、東京、大阪はもちろん、名古屋にも地下鉄があるのに、神戸にはまだそれがないことです。素人考えだけれども、神戸のような東西に長い街は、横に一本だけ地下鉄を走らせば、事は片付くのではないでしょうか?先日、ある紡績会社のファッション・ショーを兼ねた公演があり着地のメーカーが、如何に色彩というものに関心を持たれ、新しいモードをとり入れることに懸命になっていられるかを知りました。神戸には外人の方もたくさん住んでいられますし、外国の観光船も一番に入港します。港やあちこちの街角で、ふと承かける外国婦人の持ち物や、服装のアカぬけしたセンスに魅せられることがよくあります。「婦人服は神戸の仕立て」Iということをよく耳にしますが、私たち〃神戸っ子″は、もっともっと色彩ということに関心をもって、「トップ・モードは神戸から。流行は神戸から…」といわれるようにしましょうよ。(宝塚花組)いま世界画壇で最高といわれて、ピカソ以上に話題になり注視を集めているのは、ベルナール・ビュッフェである。そして、その画は画壇最高の価格で、ピカソをしのぐ程よく売れるといわれている。この画伯、実は三十三歳のパリっ子だが、いまは、パリを離れてエックス・アン・プロ・ハンスに城を買って住んでいるといわれている。この驚ろくべき人気は、神秘的な伝説さえ生むというぐらい騒々しいものである。全く独創的なビュッフェの画は強い個性にとんだものでその鮮烈さは類を見ない。彼独自の鋭いタッチで描かれる、すばらしいデッサンは鬼才を思わせ、その迫力はビュッフェ独特の世界で現代人を魅了する力をもっている。日本でもビュッフェの人気はすばらしく、最近でも国際美術展、ビュッフェ展などがひらかれている「神戸っ子」の表紙を飾っている鉛筆デッサンによる〃烏″は一九五八年に創作された作品…しかも、こんなビュッフェの画が、神戸のしゃれた尋ハアーにかけられているとしたら…既に神戸っ子にも紹介された、飛鳥にかけられています。さすがに神戸のバーらしくセンスのいいところです。〃神戸っ子″のフランス特集号にタイミングを合せて、表紙カットとして紹介させていただ、きました。16表紙のことば

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