KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年6月号
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わけである。獅子も虎も猛獣の代表選手、獅子が「百獣の王」と呼ばれるアフリカのチャンピオンなら、虎もまた「密林の王者」アジア随一の猛獣である。その強さにおいては、両大陸で、かなうものはない。昔はアジアにもライオンはいた。小アジアや.ヘルシャにいたことは学者の研究ではっきりしている。いまインドの西北。カチュアル半島にあるがl森林にインド政府の保護を受けながら、わずか百頭余りが生き残っているだけで、あとは絶滅してしまったことは何を意味するか。強敵トラに滅されてしまったと承ることができよう。そして、アフリカにはトラがいないので、ライオンが繁殖したのだといえるのではないか。ところで、強い方が必ずしも人気があるとはいえない。日本語でも獅子が悪い意味に使われることはまずないが、トラとなると、逆にいい意味に使われることは、ほとんどない。婦人議員ちも安心して草を食獅随子と虎速水良袖相側も貫録がないように思われる。どちらも猛獣であるから、鈴羊や鹿などの弱い動物を犠牲にすることによって生命を維持しているのであるが、犠牲に仕方がひどく違う。両者の人気の差は、こういうところにあるのかも知れない。ライオンは必要なだけしか獲物を殺さない。だから、鈴羊やシマウマの群れがライオンに追いかけられても、仲間の一頭が捕まったのを見ると、もうそれ以上は逃げない。あとは安全なことを知ってが超党派で提案した「酔っぱらい追放法案」も、通称「トラ法案」と呼ばれている。あたりかまわず大声でわめきちらし、女性にから承、はては乱暴する酔っぱらいのことを「トラ」とは、いつごろから呼びならわしたことであろうか英語の辞書をひくと、ライオンには一・力の強い勇猛な人」とか「名物男、流行児、人気者、名士」という訳がついている。つまり、獅子が転じて、そういういい意味を持つようになったのだ。一方、タイガーの方は「残忍な男、あばれ者」という意味を持つとある.ドイツ語やフランス語でも同様である。皮をはいでしまうと、専門家でも、ライオンとトラの見分けがつかないというのに、これは大変な差別待遇である。動物園で見ても、ライオンのオスにはふさふさとしたタテガミがあり、何となく威厳があって「百獣の王」と呼ぶにふさわしい姿である。トラも黄と黒のシマ模様がなかなか美しいが、ライオンほどRも、てしまうのだ。一度に牛を五、六が全く違う。見さかいなしに殺しの六日間は、これらの弱い動物たいるからだ。気で近くで草を食っているというライオンの一家族が必要とする食糧の量は大体一週間に鈴羊やシマまたライオンの家ところが、トラとなると、事情ウマ一頭の割りであるから、あと1151族が近くにいて空腹でないことが判ると、平っていられる
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