KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年5月号
53/60
「どうも、すると、この四社に出入り「さあ、そこまでは、全港湾でも調べがついていないん次下請業者をまず知りたいのですけど、判りませんか」「住所不定、浮浪者と紙一重ですさかいな、アンコという奴は。そうしておく政治と資本家の考え方に問題がありまんね」支部長の話は、私にとっては傍道であるほうに外れ殆めた。私は幾分焦った調子で、「判りませんか」と聞いた。「待って下さいよ」闘志型だが善人らしい支部長は、私の苛々した言葉つきにも別に、気分を害した様子を見せず、棚から綴込を持ってくると、机の上にひろげた。「K運輸関係で、二次下請が恩田組、これですね。三次下請会社は、恩田組にはやね、これだけ入ってまんね、者所在地を記入した。「ブン屋さん、変なこというようやけど、記事集めには充分気をつけてな。というのは、うちの組合員でも、ょう袋叩きにされますねん。なにしろ波止場やさかいな」支部長が言おうとしている事は、私にもよく判った。それは確かに或る程度覚悟しておかなくてはならない。今日一日、歩き廻っただけでも、波止場の雰囲気は大体やさかい表面にでまへんがな。それにつながっていて、誰の顔をたててアンまわすといった按配やさかいな」「なるほど、こいつはちょっと困った掛りを掴む方法はありませんかね」支部長は腕組承をして考えるように「ちょっと無駄足になるやろけど、三ン.に当れば、その宿出入りの手配師ん。という事はやで、手配師がアンコの利いた仕事が出来るアンコを掴んで円宿を通じて金を貸したりして面倒をな」「そうですか、どうも色々と」「役に立ちまつしやるか」七社.そのうち竜量物、つまりガラス「何処から手をつけたらという事が判っただけでも大助りです。波止場の組織は、実に複雑で吾々部外者には見当もつかなかったんですよ」私が立ちかけると、支部長はいっておいたほうがいいか悪いかとちょっと思案顔をしてから、思い切ったようにのが、この三社、あとはバラもの、石でんな」でんがな。なんというたかて、手配師という制度は違法の氏名はどうでしょうか」hL.「画私は手帳をだして、バラものを扱う四各下請には、顔でゴ十人をあそこにとか機械類を扱う炭とか小麦、砂糖十円宿へいんでァは判るかも知れへと連絡したり、気おくために、三十見てます.よってな、だが、何か手社の社名と代表している手配師49
元のページ