KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年4月号
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飛烏ASUKAバーテンの倉田氏までがしごく控え目だが、カクテルやオードーブルを作らしたら彼の右に出る者が果して神戸に何人いるだろうと云はれるほどの腕前の持主であることを知っている人は少いだろうすべてが控え目の、好感の持てる店だ。マダムは作った美しさで人目を惹くようなことは大嫌いなたちで服装も、同じ渋さにしても粋き好承を避けた素人臭ささを身につけ洋装のときもこの上もなく地味な好承が、人間的な奥行きの深さをひときわ引立たたせているようだマタムコンバンヮ1451新生田筋の中ほどの路地を山手へ入ったところにある小さい店l外観は目立たないが、足を一歩なかに踏承入れると、クラシック調のく.つれていないままに近代味がうまく取入れられた渋さと明るさの交錯し融合した店構えに、マダムの趣味のほどがうかがえるような感じの店lここが〃飛鳥″である。ここのマダムは決して話し上手というほうではないが、お人柄の良さがし承じゑとしのばれて、心のくつろぎを感じさせるような話し相手である。女の子までがマダムの薫陶を受けておっとりしている。片隅では紅茶を畷りながら女の子と楽しそうに語り合っている客もいるl垣んな雰囲気の店だ。lこんなところにかえってこの人のゆかしい女らしさがにじ承出ているのかも知れないが……(W)

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