KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年3月号
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会するようで、なつかしいようなこわいような気持である。(兵庫トヨタKK)人の幸せを護る社会小寺農きょう久しぶりにたづねて来てくれた友人と嶋中邸の殺人事件などに関して話していた時に、その友人はl今度の事件について大宅壮一氏が『作家の良識の問題、節度の問題』であるといっているように、作家側にも大きな責任があるにはちがいないが、こういう事件は良識で防止し、良識で解決出来る社会に一日も早くなってほしいものだ.…:。世間の個人々々の良識と節度の欠如がつもりつもって社会不安をつくり出し、その個人々々ゑづからがそれに脅えているのではなかろうか?と、大いに嘆いていたが、話しは現在の社会風潮から、いきおい日本の象徴にまではずんだ。それにつけても思い出されるのは、去年のことだったか街頭に立っておられるエリザベス女王のスカートが風のいたづらで、腰の下半分ぐらいの高さまで捲くり上げられている写真が新聞に出ていたlこの時の女王の顔には少しも女王としての威厳を失ったというような周章の色は承じんもなく、微笑さえうかべておられた…・・・このスナップ写真はおそらく全世界の新聞に載って、イギリス皇故事来歴を並べて承たが、いったいどんな立派なものができたのか、記憶はあいまいであってまことに申しわけない。しかし同人たちは自画自賛でたいそうご満足のていだった。芸術写真の中山岩太さん、写真家の若柳芳太郎さん、伊藤達郎さん、版画の川西英さん、画家の小磯良平さん、岡田行一さん、津谷鹿一さんたちの作品が表紙となったり、カットとして掲載されていたことはおぼろげながら記憶している。いずれもご厚意によるものだったのだろうと思う。この間当時の友人がA神戸っ子Vのとじ込承があるはずだから探しておくということであった。昔の恋人に再さて肝じんの原稿のこととなると、誰も容易に書いてくれない。結局は塩路さんや大淵シトムさんが、しびれを切らせて何とか適当につくってくれたというのが真相らしい。同人の顔ぶれを思い起して承るとコーヒーのブラジレイロの江良さん、運動具の美津濃の津田さん、家具の永田良介商店のご主人、チョコレートのモロゾフ製菓の重役さん、岡部印刷の大津さん、青山写真館さん、神戸旅行案内所さん、松竹座さん、グランドカフェー・マルタマさん、シポレー自動車のカネキにいた私といったところ、塩路さんにうかがえばも少し詳しくわかるかも知れない皆さんどうしていらっしゃるか。費の関係かそれとも本当にご清潔なお人柄のせいだったのか。批判でもなければ、常軌を逸したことに対して寛大であるほどに理性を失ってはいないl例のシンプソン夫人との艶聞に世間のひんしゆくを買ったウィンザー公が国民の声に押されて皇太子の地位を追われた如きはその好例である。いかにせち辛いわが国といえど●〃●1151室への各国民の親愛の情を深めたことと思う。仮りにこれと同じ情景がわが国で見られた場合に、皇室のとりまきはその写真をどう処置するだろうか。このほほ笑ましい人間味をムキ出しにした出来ごと、それを世間へ素直に出そうとする心がまえこそ、人と人との結びつきを強固にし、世の中をなごやかなものにする因ではないだろうかlあえて皇室に限ったことではない。このようなユーモア、このような心のゆとりがわが国にも欲しい欧米の善意にもとづく個人主義を利己主義とはきちがえた我利々々妄者の多い社会は住承にくい。楽しくもない。しかし皇室に対してかくくつの親愛感を抱いているイギリス国民といえども、決して無可
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